札幌の断熱事情：都市型寒冷地住宅の省エネ戦略

札幌市は北海道の中でも積雪・寒冷が激しい一方で、都市部特有の住宅密集やヒートアイランド現象も見られるエリアです。こうした複雑な環境下では、断熱性能が住宅の快適性・経済性・耐久性を大きく左右します。特に札幌では、外気温が氷点下15℃を下回る厳冬期にも、屋内の温度を20℃以上に保つために、高性能な断熱仕様が一般化しています。

多くの住宅では、外断熱と内断熱を組み合わせた「付加断熱工法」が採用され、壁の厚みを確保しつつ熱損失を抑えています。とくに札幌では、隙間風やヒートブリッジを防ぐための気密施工が重視され、断熱材には押出発泡ポリスチレン（XPS）や硬質ウレタンフォームなど、寒冷地対応の高性能素材が使われます。

断熱が不十分な場合、暖房コストが倍増するだけでなく、内部結露によるカビ・腐食・健康被害のリスクも高くなります。そのため、札幌市内では省エネ基準を超える「北方型住宅ECO」などの設計基準を導入し、快適な暮らしと長寿命住宅の両立が図られています。都市と寒冷地の両方の特性を併せ持つ札幌において、断熱施工は単なる設備以上の“住まいの基本性能”として扱われているのです。